大内宿の概要
大内宿は福島県南会津郡下郷町にある、江戸時代に会津西街道(会津若松~日光を結ぶ街道)の宿場町として栄えた集落です。その歴史は、鎌倉の時代にも遡るとか。現在も約30軒の茅葺屋根の古民家が軒を連ねて当時の景観を残しており、1981年には国の「重要伝統的建造物群保存地区」に指定され、年間80万人の観光客が訪れる観光地となりました。
地元の人々は景観を守るために「売らない・貸さない・壊さない」の三原則を掲げて屋根の葺き替えや保存に努めており、400年以上にわたる伝統的な風景を守り続けています。

大内宿の旧本陣は、高官の宿場として利用されていましたが、メインストリート沿いに位置し、博物館として一般公開されています。江戸時代の優美で伝統的な住宅の内装を垣間見ることができ、食器や衣服、その他の遺品も展示されています。
歴史が紐づく茅葺き屋根の街並み

大内宿では、両側に並ぶ茅葺屋根の古民家がノスタルジックな雰囲気を醸し出しています。街道沿いにはそば屋やお土産屋が並び、端から端まで徒歩で約5分ほどと散策しやすいコンパクトさも魅力です。
路地裏や石畳を歩けば、まるで江戸時代にタイムスリップしたかのような気分に浸れます。村の中央に建つ「大内宿町並み展示館」は、かつて藩主の休憩所(本陣)だった建物を復元したもので、当時の生活道具や茅葺に関する資料が展示されています。館内の囲炉裏では煙で屋根を燻しながら毎朝火が焚かれており、そのパチパチという音と炎を眺めるだけでも趣深い体験になります。
どの季節に訪れても風情がありますが、とくに冬は情緒的な光景が楽しめます。雪で覆われた街道には雪灯篭やかまくらが並び、集落の男性たちがそれぞれの雪灯篭に明かりを灯す「大内宿雪祭り」が毎年2月の第2土日に開催されます。冬祭りでは雪灯籠に火が灯され、花火が夜空を彩る幻想的な光景が見られるので、寒さ対策を万全にして訪れるとよいでしょう。
大内宿と周辺の見どころ
ラムネ
裏手には湧水
神社
冬にはかまくら
三澤屋さんでねぎそば
ねぎでそばを食べる新しい体験
ねぎそばのお供に天ぷら
楽しみ方・おすすめの過ごし方
まずは「会津鉄道」の湯野上温泉駅に立ち寄るのがおすすめです。全国的にも珍しい茅葺屋根の駅舎が目を引き、駅舎内には囲炉裏もあります。駅プラットフォーム横には無料の足湯「親子地蔵の湯」も設置されており、列車を眺めながらのんびり足を温めることができます。駅からは会津バスの「猿游号」または車で約20分ほど走ると大内宿に着きます。


宿場町に着いたら、まず茅葺屋根の街並みを散策してみましょう。風情ある通りには名物の高遠そば(大根おろしそば)を提供するそば処が何軒も並んでいます。大内宿名物の「ねぎそば」は、なんと太い長ネギ1本を箸代わりにしてそばをすくって食べるユニークな郷土そば。箸として、そして薬味としてネギを堪能するねぎそばの珍しさに、きっと驚くでしょう。特に老舗の「大内宿三澤屋」は、土日や行楽シーズンに行列ができるほど人気です。昼どきは混雑するため、開店直後の時間を狙ったり、待ち時間を周辺の散策に充てると効率的です。そば以外にも郷土食「しんごろう」や、「栃餅」など地元食材を使った一品が味わえるお店もあります。


午後には街道から少し外れた高台の見晴台へ足を伸ばしてみましょう。石段を登ると、丘の上から大内宿の家並みを一望できます。晴れた日には青い空と茅葺屋根、遠くに控える山々のコントラストが見事で、雪が降る冬はまるで雪絵巻のような景色が広がります。もし夏に訪れるなら7月2日の半夏生には田植えの安全祈願の「半夏祭り」、秋なら10月下旬~11月上旬の紅葉の時期、冬に来るなら前述の雪祭りに合わせると、より一層印象深い旅になるでしょう。
そしてなんと、大内宿内には2軒の宿があり、文化財住居に宿泊することができます。他の観光客たちが帰り、静かになった大内宿の夜景をぜひ堪能してみてください。
また、大内宿から車で15分ほどの「塔のへつり」は大川渓谷の奇岩群で知られる絶景スポットです。「大内宿」と併せて、ぜひ足を伸ばしていただきたいです。
基本情報
営業時間:9:00~17:00(年中無休、散策自由)
料金:入場無料(街歩き自由)
アクセス
住所:福島県南会津郡下郷町大字大内(大内山本)
- 公共交通機関:会津鉄道「湯野上温泉駅」から会津バス(猿游号)で約20分(バス停「大内宿入口」下車すぐ)
- 車:東北道・白河ICから国道289号・121号経由で約40km・1時間10分。
- 駐車場:普通車238台 普通車500円/回、マイクロバス1,500円/回、大型バス3,000円/回

大内宿のねぎそば