会津若松の静かな渓谷に佇む、1日1組限定の高級旅館「鶴我 東山総本山」。囲炉裏個室でいただく会津会席、専属コンシェルジュバトラーによる手厚いおもてなしが、日本ならではの贅沢な滞在を味合わせてくれます。
鶴我 東山総本山
詳細を見る【はじめに】福島県・会津の名物「馬刺し」

福島県・会津を訪れたら、ぜひ味わってほしい名物が「馬刺し」です。福島は’’日本三大馬刺し’’のひとつにも数えられています。独特の歯ごたえと濃厚でジューシーな旨みは、この地に訪れた多くの旅人を魅了してきました。そして今、「世界一美味しい馬刺しが味わえる」と密かに話題を集めている宿が、ここ福島県にあります。厳選された絶品の馬刺しや、コンシェルジュバトラーによる細やかなサービスを、贅沢に堪能できる旅館──それが『鶴我 東山総本山』です。
今回はその旅館に宿泊した際の感動を、宿泊記としてまとめました。
【送迎サービス】一組限定の贅沢

郡山駅に到着すると、駅前では美しいタキシード姿のスタッフの方が丁寧に出迎えてくださいました。送迎車はまさかの高級車「ベンツ」。一日一組限定ならではの特別感が、さっそく胸を高鳴らせてくれます。会津地方は東京に比べると公共交通が少ないため、このように駅まで送迎してくれる旅館を選ぶと、旅がぐっと快適になるのでおすすめです。
車に乗り込み、旅館まではわずか約10分。人生初の高級車の乗り心地に感動していると、運転してくださっているスタッフの方が、宿のすぐ目の前にある観光地「飯盛山」の歴史を簡単に紹介してくださいました。

飯盛山は、白虎隊ゆかりの地として知られる会津を代表する名所のひとつとして知られています。旅館から道路を挟んですぐ向かい側にあり、翌日の朝散策にもぴったりのスポットです。
飯盛山とさざえ堂
詳細を見る【宿泊】『鶴我 東山総本山』の魅力
美しい日本家屋

旅館に到着してまず目に入るのが、この立派な日本家屋です。周りの松や緑と建物がよく馴染んでいて思わず写真に納めたくなるほど絵になる外観は、「これからどんな滞在が始まるんだろう」と、滞在前からわくわくさせてくれました。
チェックイン・ウェルカムドリンク

旅館に着いて最初に案内されたのが、こちらの美しい和室でした。奥には掛け軸や工芸品が飾られていて、会津らしい凛とした美意識をさりげなく感じ取ることができます。旅先ならではの伝統工芸品はなんだか特別感があり、私もこうやって隠れたお宝を探すように目を配る時間が気に入っています。
この和室でチェックインを行うのですが、スタッフの方の眩しい笑顔と美しい所作もかなり印象的でした。普段は少しこの時間を面倒に感じてしまうのですが、ここでは心地よいおもてなしの一部となっていて、驚くほどあっという間でした。

隣のお部屋に移動して、ウェルカムドリンクを提供してもらいました。目の前で点ててくださる抹茶に、お茶菓子。それをいただくのは、まるで日本映画のワンシーンのように美しい茶室です。私が訪れたのは11月上旬で東日本の紅葉が美しい時期。鮮やかに色づいた木々のグラデーションが、自然と心を豊かにしてくれます。ゆったり読書をしたり、詩を書いたり、そんな時間に当てたくなるような空間でした。

茶室・本館・そして目の前に広がるこの美しい景色。そのすべてが、その日に宿泊する一組のためだけに用意されているというのが、なんとも表せない最高の贅沢です。
鶴我 東山総本山のロイヤルスイート

こちらが、一日一組だけが宿泊できる「ロイヤルスイート」のお部屋。和の雰囲気を残しつつ、家具は北欧デザインを使用したモダンで贅沢な造りです。床はすべて柔らかな色味の畳で統一されており、素足で歩くと畳の質感がフィットし、足に溜まった疲れが和らいでいくのを感じました。

入って左手にある障子に仕切られたベッドルームには、シモンズ製のベッドが。開ければスイートルーム全体がひとつの広い空間になり、閉めれば程よいプライベート空間が生まれます。気分に合わせて雰囲気を変えられるのも、とても嬉しいポイントでした。

そしてなんと言っても外せないのが、部屋の右手側にあるこちらのテラス。さらさらと揺れる竹の葉音、そして川のせせらぎを聞きながら、中央のファイヤーピットで焚き火を楽しんだのがとても印象深いです。

さらに、竹林を間近で楽しめるのはテラスだけではありません。こちらは、客室に併設されたプライベートバスで、お風呂好きな私が滞在中もっとも長く過ごした、お気に入りの場所です。目の前には一面の竹林が広がり、まるで緑に包まれるような圧倒的な開放感。泉質は皮膚の再生を助ける硫酸塩泉の贅沢湯です。
足元には畳素材が敷かれ、濡れても滑りにくく、さらりとした優しい肌触り。普段都内の温泉施設へ行くことが多いのですが、畳敷きのお風呂場というのは非常に珍しく、お風呂好きとしては思わずテンションが上がるポイントでした。さらに驚いたのが、最近日本でも大流行している「サウナ」がしっかり完備されていたこと。
・竹林を望む絶景
・畳敷きの心地よい床
・高機能シャワーヘッド
・個室サウナ
「ここまで揃っているのか…」と、思わず声が漏れるほどの充実ぶりです。
竹林の気配や風の音を感じながら過ごすこのバスルームを、「森に抱かれるような入浴体験」とでも表現いたしましょうか。

お風呂から上がったあとは、こちらのラウンジでゆったりとお酒を楽しみました。
ご覧のとおり、この宿は すべての贅沢を部屋の中だけで完結できるつくりになっています。さらに、この宿は「オールインクルーシブ」。旅先でお酒を飲みたい気持ちはあっても、つい遠慮してしまうことが多い私ですが、このスタイルだったからこそ心からリラックスして味わえました。

そして『鶴我 東山総本山』ならではの特別なポイントが、ここにあります。それは専属の“コンシェルジュバトラー”が、お酒を提供してくれること。このとき、コンシェルジュバトラーの方から「コンシェルジュバトラー」とは、北欧では“魔法が使える執事”と訳される という非常に興味深い話を教えていただきました。まさに魔法にかけられたような夢見心地で、初めて聞いたその言葉に知的好奇心が強く揺さぶられました。バーを訪れる楽しみのひとつは、バーテンダーとの会話だったりしますが、その体験を旅館滞在の中でまるごと味わえる宿は、日本でも本当に稀です。

こちらでは、選び抜かれた日本酒はもちろん、ビール各種やシャンパンなども楽しめます。日本酒に馴染みのない方でも、コンシェルジュバトラーが丁寧におすすめを選んでくれるので安心です。お部屋での滞在を充分楽しんだ後は、いよいよ夕食です。
囲炉裏を囲んでいただく会津会席

夕食は、会津の風土が育んだ素材と、長く受け継がれてきた郷土料理を丁寧に昇華させたもの。四季折々の豊かな自然に恵まれ、地域ごとに異なる気候を生かして多種多様な農作物が育つ会津。その中から厳選された食材が並びます。料理長いわく、「田舎では、残していただいてお腹が一杯になったと言われるのが一番の喜びなんです」とのこと。
この言葉のとおり、献立は少し多め。しかしどれも食べ進めるほどに、会津の文化そのものを味わっているようで、不思議と箸が止まりませんでした。
今回いただいた献立

・会津こづゆ
・奥会津の清流で育った川魚の囲炉裏焼き
・会津の祝膳・天麩羅饅頭
・会津ブランド馬刺し
・総本山名物 酒器五種盛り
・鶴我の桜鍋(会津ブランド認定)
・会津蕎麦と鰊天麩羅、会津三五八漬け
・自家製アイスと会津果実、黒糖金時豆&よもぎ餅
一皿ごとに「会津の歴史」が感じられ、まさに食で旅する夜。
会津の郷土料理が持つ“背景”

会津を代表する郷土料理「こづゆ」、干し貝柱からとった出汁は、驚くほど澄んでいて優しい旨みが染み渡ります。会津の中でも、それぞれの地域によって具材や味付けが変わってくるので、色々な場所で食べ比べてみるのも面白いかもしれません。

また、保存食文化から生まれた「鰊の山椒漬け」や「本棒たらのうま煮」などは、海のない会津が北海道を統治していた歴史が関わる、まさに“物語のある料理”。漆の輝きが美しい「会津塗」の器に盛り付けられ、目でも楽しめる会席でした。
会津武家会席は、伝統 × 革新の進化形

料理長・入谷さんが手がける会津武家会席は、伝統を大切にしながらも、世界の食材との組み合わせで新たな表現を探求しているのだとか。一皿ごとに「この組み合わせはここだけのもの」という驚きがあり、古き良き会津と新しい発想が同じ舟に乗っているような、そんな食体験でした。
地酒は“バトラーおすすめ”を
会津は日本屈指の酒どころ。全国新酒鑑評会で金賞受賞蔵数日本一を更新し続ける福島県の中でも、特に酒蔵が多い地域として知られています。囲炉裏を眺めながら、バトラーさんが選んでくれた地酒をゆっくり味わう時間は、 本当にたまらないひとときでした。
世界最高峰の「馬刺し」に出会った夜

今回の夕食のハイライトは間違いなく、宝石のように艶やかなこちらの馬刺しでした。お皿が運ばれてきた瞬間、スタッフの方から「これを食べると、馬刺しの概念が変わりますよ」 と一言。実は、私はこれまで生肉が少し苦手でした。特有の臭みや筋が残っていると気になってしまう人も多いと思います。でも、ここで出会った馬刺しは、そんな不安を一瞬で吹き飛ばしてくれるもの。
盛られているのは、モモ・ロース・ヒレの3種類。これを、辛味噌醤油とゴマの香る特製ダレでいただきます。特にヒレは「馬のシャトーブリアン」とも呼ばれる超希少部位だそうで、おすすめの食べ方にならって、まずはヒレを辛味噌醤油につけて口へ運びました。その瞬間、驚きました。噛む間もなく、お肉がとろけるように消えていったのです。わずかな時間の中で、濃厚な旨みと芳醇な香りがふわりと広がり、口の中が一気に幸福感で満たされました。そして何より、この辛味噌醤油が驚くほど相性抜群…!ピリ辛な味噌と大豆の香り高いお醤油が、肉の甘みを最大限に引き立ててくれました。
正直に言うと、これほどおいしい馬刺しを味わってしまったら、しばらく他のお店では満足できなくなってしまうかもしれません。それほど強い衝撃と感動がありました。もともと馬刺し専門店として始まり、現在も居酒屋として利用可能(要予約)とのことなので、その味だけでも多くの方に一度は体験していただきたいと思います。
一日一組ならではのこだわりを感じられる食事時間

まさに、一日一組だからこそ実現できる、丁寧で贅沢な時間そのものでした。囲炉裏個室という特別な空間、会津の歴史と文化が皿の上に表現された会席料理、そして一品一品に宿る料理人のこだわり。さらに、料理に合わせて最高のタイミングで提供される、行き届いたサービス。こうしたこだわりあるおもてなしが評価され、何度もこの場所を訪れている著名人も多いようです。
【まとめ】会津で出会う新しい日本の魅力

日本には、まだまだ知られていない魅力が数えきれないほど潜んでいます。
それは、食であり、文化であり、そしてこの地に根差した伝統を守り続ける人々の存在でもあります。今回の旅で、私は地元・福島の中でも会津という土地の奥深さを改めて強く感じました。歴史の積み重ねが息づく旅館、厳しい風土に育まれた食文化、そして人の手で大切に受け継がれてきたおもてなしの精神。どれも「これこそ日本の美しさだ」と胸を張って言えるもので、訪れる人の心に静かに響いてきます。
会津を旅すると、 “知っているつもりだった日本”のその先に、まだ出会っていない新しい日本が広がっていることに気づかされます。そんな体験をさせてくれる会津はきっと、あなたにとって「何度でも足を運びたくなる場所」になるはずです。